2代目 干瓢うぉっち

サウンドエンジニア/クリエータ観点の話を中心にダラダラ覚え書きするブログ

FL Stuidoで外部接続のハードシンセを鳴らす手順

FL Studio上でハードシンセをソフトシンセのように扱うための話。
どこかの質問箱で、表題のような質問に対してFLはハードを動かすことを想定していない、というような回答がベストアンサーに選ばれているのを見て、普通に動かせるけどねえ・・と思いつつ、記事を残しておく。

まず前提として、下記2つが揃っていることが条件となる。
①PCからハードシンセが操作可能な状態になっている(MIDI or USB)
②ハードシンセから出た音をPCで録音可能な状態になっている

Wantで、下記があると良い。
③シンセをエディットするためのエディターソフト

FL Studioでできないことは下記。
x システムエクスクルーシブメッセージ(SysEX)を送受信できない
x シンセ専用の音色表を表示させることはできない

FL StudioMIDI Out先にシンセを登録

【Option】->【MIDI
Output欄に、接続されている「MIDIバイス」の一覧が表示される。使用したいMIDIバイスに任意のPort番号を指定する。

画像では僕が接続している環境の例を示しておく。
USBで認識している場合は、シンセ名を(INTEGRA7 など)。
MIDIインターフェース、またはAudio IFのMIDIコントローラを介して接続している場合は、それぞれを指定(OCTA-CAPTUREなど)。
Port番号はお好みで。僕の場合は、若番のMIDI Port番号は他の用途で多用するため、ハードシンセは100番以降に指定している。

MIDI Outプラグインでハードシンセを鳴らす

Channel trackにMIDI Outプラグインを呼び出す。Portに先程指定したPort番号を指定する。Channelは鳴らしたいMIDIチャンネルの番号を任意に指定しよう。
この状態でピアノロールに何かしら音を置いてみる。問題なければこの時点でハードシンセが反応して音が出る。


ハードシンセの音をFLに入れる(モニターする)

ハードシンセの音は、歌や、生楽器の演奏と同じ。録音可能な状態で音をFLに入れてやる必要がある。

【Option】->【Audio】
ハードシンセの音を入力しているAudio I/Fを指定する。
Playback trackingをMixerに指定する。

ミキサーInputに、ハードシンセの音を入力しているオーディオポートを指定する。この状態で先程と同じようにピアノロールを再生してみれば、ミキサーに音が入る。


あとは普段やってるように、EQやコンプといったポストエフェクトを入れて煮るなり焼くなりどうぞ。

Playback tracking

 外部のハード音源と連携する場合はここは「Mixer」に設定する。

 「Driver」のほうが動作は安定する設定だが、プラグインによる遅延補正がハード音源の音声に対して整合性を取ることができない。使うエフェクタによって都度ハードウェア音源の入力音声の遅延量が変動してしまうので、Driverの設定では外部音源と連携した音声のモニターには使いづらい。

ハードシンセの音を録音してバウンス可能にする

ハードシンセの音は、歌や、生楽器の演奏と同じ(2回目)。つまり波形として存在しないとバウンスしても無音扱いとなる。いろいろやり方があり、僕がやってるやり方を一例として示す。

ミキサーの「Adjust positon of recorded audio」のチェックを外す。
録音時のレイテンシーを補正してくれるものだが、普段は不要なのでチェックを外す。

録音対象のノートをプレイリストにセット、マーカーをちょっと前に設置。

Recボタンを押す。上から2番目の「Audio, into the playlist as an audio clip」を押す。

① Audio into the Edision audio editor/recorder
Edisonで編集してからプレイリストに置きたい場合はこっち。プラグインが新規にアサインされるのと、この段階で編集することなんてほぼないので普段は選ばない。

②Audio, into the playlist as an audio clip
録音波形を直接プレイリストに置く。普段はこっち。


録音される波形のタイミングもぴったり合った状態で波形が出来上がる。あとは煮るなり焼くなりご自由に。この波形はミキサーでエフェクトを通す前の素の波形(つまりハードシンセ出力そのままの波形)になっている点に注意。モニターしていたMIXER番号に再アサインすれば、モニター時聴いていた音と同じになる。

ハードシンセのエディット方法

コントロールチェンジ

冒頭に記載した通り、SysEXの送受信はできないが、コントロールチェンジ等の基本的なパラメータは送ることができる。
MIDI Outによく使うコントロールチェンジを登録しておくと良い。
たとえば、
・CC64 Hold    ・・・ ピアノのホールドペダル
・CC101 RPN_MSB
・CC100 RPN_LSB
・CC6 Data_Entry ・・・ 上記0・0を指定するとベンドレンジ指定

など、ハードに限らず、MIDI規格に則ったソフトのVSTiにも使えるパラメータもあり、あるとすごく重宝する。これをプリセットとして保存しておけば、毎回下準備する必要もない。機会があればこのへんの解説も残すつもり(ほぼMIDI規格の解説になりそうだけど)。

エディターによる音色の変更

基本的にPatchの部分は(none)から触らず、エディターソフトを併用するとよい。エディタはスタンドアロンで動くもの、VSTiとして動くものなど、様々あるのでそちらを使う。

Patchで音色を指定してしまうと、再生するタイミングでプログラムチェンジがFLから送信され、音色が変わってしまうので注意。


FLではGM音色の128音+バンクセレクトの直打ちしか選べないので、ほぼ音色選択は使えない(時間がかかる)と思っていいです。このご時世MIDIインプリやトーンリストと睨めっこしながらパラメーターを打つのは時代に合ってない。

僕がFLで使っているハードウェアの一例。
Roland INTEGRA7 ・・・ VSTiエディタ(正直使いづらい)、有志のスタンドアロン版エディタ
Roland SonicCell ・・・ VSTiエディタ
Roland SD-80 ・・・ スタンドアロンエディタ


ここでネックになるのが、専用のエディタなど代替案の用意が難しいシンセ。
たとえばYAMAHAのMU2000といったXG音源などは、現状エディタが存在しないため、基本的な機能しか制御できないため使用の敷居が高い。シンセ本体側で制御する必要がある。